D.T.I.ツアーズ

たまの旅日記



2023年 03月08日

「デルフトの眺望」マウリッツハウス王立美術館蔵(部分)

寡作の画家だったと言われるオランダの画家フェルメール。現存するフェルメール作品は37点余り。どこの美術館でもフェルメール作品はお宝扱いですが、実は19世紀になるまでほとんど無名だったと言われています。フランス人作家プルーストが「デルフトの眺望」を評して「世界で最も美しい風景画」と述べたことがきっかけで世間の脚光を浴びるようになり再評価されたのです。それまでは長いこと忘れ去られていたので、消失した作品も何点もあったようです。

「デルフトの眺望」は猫のたまもお気に入りです。ぴんと張り詰めた空気が伝わってくるような冬の日の朝を描いた風景画で、キラキラした水面と雲が広がる広い空、そして今もあまり変わっていないデルフトの街並み。この作品が描かれる数年前、デルフトでは火薬庫が爆発して町の3分の1が被害を受けるという大惨事がありました。そこから徐々に復興していく町の風景を残しておきたい、そんな願いが込められているのかもしれません。

「デルフトの眺望」が描かれたスポットで解説するガイドさん。中央に見える新教会の塔は今も昔も変わっていない

もう2点、猫のたまのお気に入りのフェルメールをご紹介します。

猫のたまは実は手芸が趣味で「レースを編む女」は、前から気になっていました。レース編みの過程を正確に再現しているだけでなく、焦点への光の当て方や構図などから、フェルメールはカメラ・オブスキュラを使用していたのではないかと長い間、研究者の間で論争になっていました。フェルメールの家の隣にはイエズス会の教会があり、そこに、カメラ・オブスキュラなどの器具や装置があったことがわかり、長年の説が裏付けされた形となりました。ともかく、猫的には萌える作品ですが、びっくりするのはそのサイズ。わずか、24.5cm x 21cmですが、思わず引き込まれてしまう魅力があります。

「レースを編む女」ルーヴル美術館蔵

もう一つのお気に入りは「地理学者」という作品。この学者のモデルになったのが、アントン・レーウェンフックという顕微鏡を発明したデルフト出身の学者です。フェルメールが生きた時代、デルフトは東インド会社の支店もあり、世界と繋がった先端科学の町だったのです。また、オランダは黄金時代を迎え、豊かになった一般市民が家を飾るための絵画を競って購入したのです。芸術に親しめるようになると次に満たしたくなるのが知的好奇心だったようで、この時期オランダの科学技術は飛躍的に発展したと言われています。そんな時代背景はともかく、何故この作品がずっと気になっていたのかつい最近、大好きなクイーンの映画を見ていてわかりました。モデルのアントン・レーウェンフックはクイーンのギタリスト、ブライアン・メイにそっくりだったのです。道理で「地理学者」の知的な眼差しに魅了されてしまった訳です。

「地理学者」をフェルメール展のために展示する国立美術館のスタッフ


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たまのプロフィール

船橋にあるトラベルサロンの飼い猫で、親切な社長に拾ってもらいました。前職はヨーロッパのとある国の観光プロモーションの仕事を30年以上続けていた旅好き猫。ブログで旅日記を掲載中。

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