
こんにちは、猫のたまです。
今月はアントワープのおすすめミュージアム4選をお届けします。
ベルギー第二の都市アントワープは、フランダースの犬やルーベンスの故郷としても有名です。オランダで仕事をしていた若かりし頃、ちょっと美味しいものを食べに行きたい時、ちょっとお洒落なものを買いに行きたい時、よく通っていたのがアントワープです。オランダの街並みと似ていますが、カソリックの国だけあって、食へのこだわりが強いだけでなく、街ゆく人の服装もハイセンスです。
そんなアントワープでおすすめのミュージアムの一つが、プランタン・モレトゥス・ミュージアム。この覚えにくい名前、日本語ではよく「印刷博物館」と訳されていることもあり、地味なイメージが拭えませんが、行ってみると、なかなかどうして。猫のたまが訪れた美術館のベスト5位には入る素晴らしいミュージアムでした。


まず、この美術館、2016年にユネスコの世界遺産に認定されています。美術館としては初めてで唯一ではないでしょうか。16世紀にアントワープで出版印刷業を創業したクリストフ・プランタンとモレトゥス家の邸宅兼工房だった建物がそのまま美術館となっています。創業から9代続いたモレトゥス家が果たしたイノベーションは、現代で言えばGAFAの規模に匹敵します。
当時、モレトゥス社で最も多く出版されたのが聖書。何と言っても、それまで、僧院などで僧たちが黙々と手作業で書き写していた聖書を、印刷機で印刷できるようになったのですから、大きな違いです。しかも、ヘブライ語、ラテン語、英語など各国語の対訳版も出版。ベストセラーはもちろん聖書だけではありません。当時のアントワープは交易を通じて世界の富や知識が集約していたこともあり、出版物により知識欲も高まり科学技術の発展にも大きく貢献したのです。
ミュージアムに入るとまず目につくのが、代々のモレトゥス家の人たちの肖像画(冒頭の写真)。初代家族の肖像画は交流のあったルーベンスが描いています。また、ルーベンスやレンブラントのエッチング(銅版画)の印刷もここで担っていました。
校正原稿をチェックする北向きの部屋や、豪華な壁紙を設えた社長室、膨大な種類のフォントを取り揃えた活字棚や印刷機などが全て残っていて、かなり見応えがあります。昔の印刷機を使ったデモンストレーションもあり、モレトゥス家の家訓(誠実であれ、云々)をその場で印刷してくれます。


今や印刷は全てコンピューターが行う時代ですが、猫のたまが子供の頃は新聞だって活版印刷でした。写植屋さんという専門職の人たちが、文字を一つずつ組んでいた時代がほんの半世紀前だったことを考えると、今ではミュージアムになっているプランタン・モレトゥス社の500年間の歴史も身近に感じることができる気がします。

たまのプロフィール
船橋にあるトラベルサロンの飼い猫で、親切な社長に拾ってもらいました。前職はヨーロッパのとある国の観光プロモーションの仕事を30年以上続けていた旅好き、鉄道好き、手芸好き猫。ブログで旅日記を掲載中。








